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筋肉増強外来

アナボリックステロイドと筋トレの医学論文解説(前編)

2024.09.11

こんにちは。
今回は、「アナボリックステロイドと筋トレの医学論文解説(前編)」の解説をしていきます😊

筋肉トレーニングにおいて、効率的な筋肉量の増加や回復速度の向上は多くの人々の関心事です。その中で、アナボリックステロイドは一部のスポーツ選手やボディビルダーによって使用され、その強力な効果が注目されています。本コラムでは、アナボリックステロイドがもたらすさまざまな効果とその背後にある生物学的メカニズム、そして医療分野での応用について詳しく解説します📖✨

【筋肉量の増加に関する論文】
〜アナボリックステロイドの作用メカニズム〜
アナボリックステロイドは、アンドロゲン受容体に結合することで筋肉細胞内のタンパク質合成を促進します。このプロセスは主にmTOR(Mechanistic Target of Rapamycin)シグナリング経路を介して行われ、細胞の成長と増殖を制御する中心的な役割を果たします。
さらに、アナボリックステロイドは筋肉組織内のサテライト細胞(筋肉幹細胞)の活性化を促し、新たな筋繊維の形成と既存の筋繊維の拡大を促進します。これにより、筋肉の断面積と体積が増大し、より大きく強力な筋肉を形成することが可能となります。

2002年のSinha-Hikimらの研究によると、適切なトレーニングと併用したアナボリックステロイドの使用は、非使用時と比較して20%以上の筋肉量増加が観察されました。この結果は、短期間での筋肉増強を目指す場合におけるステロイドの効果を明確に示しています。

<<医療分野での応用>>
アナボリックステロイドは、以下のような医療状況においても有効性が認められています。
<<広範囲の火傷患者>>
大規模な組織損傷により筋肉量が急激に減少する場合、ステロイドの使用が筋肉の維持と回復を促進。
<<エイズ関連の筋力低下>>
免疫不全状態での筋肉減少を抑制し、生活の質を向上させる効果があります。
<<慢性疾患による衰弱>>
がんや慢性心不全などによる体重減少と筋力低下の改善に役に立ちます。

【回復時間の短縮とそのメカニズム】

炎症反応の抑制
アナボリックステロイドは、運動後の回復時間を短縮する効果があります。これは、ステロイドが炎症反応を抑制することで実現されます。具体的には、NF-κB(Nuclear Factor kappa-light-chain-enhancer of activated B cells)経路の抑制を通じて、炎症性サイトカイン(例えば、TNF-αやIL-6)の産生が減少します。

筋肉修復プロセスの促進
炎症反応の抑制により、筋肉の損傷部位でのマクロファージの活動が効率化され、損傷組織の除去と新たな組織の再生が迅速に進行します。また、ステロイドはコラーゲン合成を促進し、筋肉と結合組織の強度と安定性を高めます。

医療分野での応用
2008年のKadiの研究では、アナボリックステロイドを使用した被験者グループは、非使用グループに比べて30%速い回復速度を示しました。これにより、高頻度かつ高強度のトレーニングが可能となり、トレーニング効率の向上に寄与します。

医療的な利点
この回復促進効果は、手術後の患者や外傷患者のリハビリテーション期間の短縮にも応用されています。早期の機能回復と合併症のリスク低減が期待でき、患者の全体的な予後を改善する可能性があります。



【参考文献】

Herbst, K. L., & Bhasin, S. (2004). Testosterone action on skeletal muscle. Current Opinion in Clinical Nutrition and Metabolic Care, 7(3), 271-277.
Sinha-Hikim, I., et al. (2002). Testosterone-induced muscle hypertrophy is associated with an increase in satellite cell number in healthy, young men. The American Journal of Physiology-Endocrinology and Metabolism, 283(1), E154-E164.
Kadi, F. (2008). Cellular and molecular mechanisms responsible for the action of anabolic androgenic steroids on skeletal muscle. Journal of Neuroendocrinology, 20(4), 389-406.
Lundby, C., & Robach, P. (2015). Performance enhancement: what are the physiological limits? Physiology, 30(4), 282-292.

詳しくは当院公式YouTubeで説明していますのでよければそちらを参照して下さい。
😊YouTube ➡︎  https://youtu.be/Ih7yuOrGnUo?si=jMvCj_CAqNKRJQEk
😊「アナボリックステロイド」についてこちらの記事でもご紹介しています。こちらをクリック
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