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筋肉増強外来

アナボリックステロイドと筋トレの医学論文解説(後編)

2024.09.18


こんにちは。
アナボリックステロイドと筋トレの医学論文解説(後編)」の解説をしていきます😊
筋肉トレーニングにおいて、効率的な筋肉量の増加や回復速度の向上は多くの人々の関心事です。その中で、アナボリックステロイドは一部のスポーツ選手やボディビルダーによって使用され、その強力な効果が注目されています。本コラムでは、アナボリックステロイドがもたらすさまざまな効果とその背後にある生物学的メカニズム、そして医療分野での応用について詳しく解説します。

【強度向上の生物学的根拠】
筋線維の質と量の改善
アナボリックステロイドは、速筋線維(タイプII筋線維)のサイズと収縮力を増加させます。これにより、瞬発力が向上し、高強度の運動や重量挙げなどのパフォーマンスが強化されます。

神経筋接合部の効率化
ステロイドはまた、神経筋接合部の伝達効率を高め、筋肉への神経伝達を向上します。これにより、より強力な筋収縮が可能となります。前述のSinha-Hikimらの研究(2002)によれば、ステロイド使用者は非使用者に比べて平均15%以上の筋力向上を示しました

【持久力の増強】
赤血球生成の促進
アナボリックステロイドは、エリスロポエチン(EPO)の産生を刺激し、赤血球(RBC)の生成を促進します。増加した赤血球数は、血液中の酸素運搬能力を高め、筋肉組織への酸素供給が改善されます。

有酸素能力の向上
酸素供給の増加により、有酸素運動能力が向上し、疲労耐性が強化されます。これにより、長時間にわたる持久的な運動や高強度インターバルトレーニングでのパフォーマンスが改善されます。

医療分野での応用
2015年のLundby & Robachの研究では、この特性が心不全や**慢性閉塞性肺疾患(COPD)**などの患者において、運動耐性と生活の質の向上に寄与することが示されました。また、貧血症状の改善にも効果的であり、全身の酸素供給を改善することで多くの臓器機能をサポートします。

   

【脂肪減少の代謝効果】
基礎代謝率の上昇
アナボリックステロイドは、基礎代謝率(BMR)を上昇させ、エネルギー消費量を増加させます。これは、筋肉量の増加によるエネルギー需要の高まりと、ステロイド自体が代謝プロセスを活性化する効果によるものです。

脂肪分解の促進
ステロイドは、ホルモン感受性リパーゼ(HSL)やリポプロテインリパーゼ(LPL)といった脂肪分解酵素の活性を高め、脂肪組織からの脂肪酸動員を促進します。これにより、体脂肪率の減少と体組成の改善が達成されます。

糖代謝の改善
さらに、アナボリックステロイドはインスリン感受性を改善し、血糖コントロールをサポートします。これは、2型糖尿病やメタボリックシンドロームの管理において潜在的な利点を提供します。2004年のHerbst & Bhasinの研究によると、ステロイド使用者は非使用者と比較して平均5%の体脂肪率減少が報告されています。この効果は、肥満治療や体重管理の補助的手段としても検討されています。

【まとめ】
アナボリックステロイドは、筋肉量の増加、回復時間の短縮、筋力と持久力の向上、そして体脂肪の減少といった多様な効果をもたらす強力な物質です。これらの効果は、適切な医療環境下での使用において、さまざまな疾患や症状の改善に寄与しています。しかしながら、非医療目的での使用や誤用は、深刻な健康被害や倫理的問題を引き起こす可能性があります。肝機能障害、心血管疾患、ホルモンバランスの乱れ、精神的な問題など、多岐にわたる副作用が報告されており、慎重な取り扱いが求められます。そのため、アナボリックステロイドの使用を検討する際には、医療専門家との十分な相談と適切な指導が不可欠です。正しい知識と適切な管理のもとで、安全かつ効果的な健康増進を目指しましょう。



【参考文献】
Herbst, K. L., & Bhasin, S. (2004). Testosterone action on skeletal muscle. Current Opinion in Clinical Nutrition and Metabolic Care, 7(3), 271-277.
Sinha-Hikim, I., et al. (2002). Testosterone-induced muscle hypertrophy is associated with an increase in satellite cell number in healthy, young men. The American Journal of Physiology-Endocrinology and Metabolism, 283(1), E154-E164.
Kadi, F. (2008). Cellular and molecular mechanisms responsible for the action of anabolic androgenic steroids on skeletal muscle. Journal of Neuroendocrinology, 20(4), 389-406.
Lundby, C., & Robach, P. (2015). Performance enhancement: what are the physiological limits? Physiology, 30(4), 282-292.

詳しくは当院公式YouTubeで説明していますのでよければそちらを参照して下さい。
😊YouTube ➡︎  https://youtu.be/Ih7yuOrGnUo?si=jMvCj_CAqNKRJQEk
😊「アナボリックステロイド」についてこちらの記事でもご紹介しています。こちらをクリック
😊「アナボリックステロイドと筋トレの医学論文解説(前編)」こちらをクリック

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