こんにちは、院長の吹田です。
薄毛は、正式名称を男性型脱毛症(Androgenetic Alopesia略してAGA)といいます。
加齢に伴い発症することが多いですが、成人男性であれば20歳代でも発症する可能性があります。
AGAは進行性の脱毛症であり、発症してしまうと自然に治ることはありません。
AGAとは、ヘアサイクルが乱れた状態です。
具体的には、下記ヘアサイクルのステージの中で、成長期が短くなります。髪が伸びる成長期は、通常男性だと2〜6年あると言われていますが、AGAでは数ヶ月から1年と短くなります。成長期の初期からいきなり退行期へと移行してしまう場合もあり、毛髪が十分に育たず、短く細く柔らかい毛が増えてしまいます。さらに、毛包という髪の毛が育つ場所が萎縮してしまい、休止期から成長期に移行できず、新しい毛が生えてこなくなってしまいます。
一番大きな要素は、5αリダクターゼの分泌量だと言われています。5αリダクターゼの分泌量は遺伝によるものですが、5αリダクターゼの分泌量が多いと必ずAGAを発症するわけではなく、ストレスや生活習慣の乱れにより、頭皮の血流が悪化することもAGA発症の要因となります。また、髪を育てる栄養素として鉄・銅・亜鉛・ミネラルなどが挙げられており、これらの栄養素が不足することもAGAの要因となります。
5αリダクターゼは、男性ホルモンであるテストステロンに作用し、ジヒドロテストステロンへと変換させます。このジヒドロテストステロンが、前頭部や頭頂部においてアンドロゲンレセプターに結合すると、脱毛因子と呼ばれる「TGF-β」などが産生され毛母細胞の増殖を阻害し、軟毛化を引き起こすことがわかっています。
この5αリダクターゼには、Ⅰ型とⅡ型があり、それぞれ分布する箇所が異なります。
側頭部や後頭部、ほぼ全身の毛乳頭細胞に存在し、特に皮脂腺や前立腺に多く存在しています。
頭皮・脇・髭・陰毛等の毛乳頭細胞に存在します。
頭皮の場合、主に生え際や前頭部・頭頂部に多く存在しています。AGA発症の原因となりやすいのは、このⅡ型です。
ミノキシジル・フィナステリド・デュタステリドは、医学的に発毛効果が認められており、日本皮膚科学会が発表している診療ガイドラインでも推奨ランクAと強く勧められている成分です。
フィナステリド(プロペシア®️)は、5αリダクターゼⅡ型の作用を阻害し、ジヒドロテストステロンの生成を抑制します。脱毛因子と呼ばれる「TGF-β」など産生が抑えられるため、抜け毛を減らすことが可能です。また、デュタステリド(ザガーロ®️)は、同じように5αリダクターゼの作用を阻害しますが、Ⅰ型Ⅱ型両方に効果があるとされています。
ミノキシジルは、もともと高圧薬として使用されていた薬剤です。血管拡張作用があり、血流が改善するため、髪の成長に欠かせない栄養や酸素を頭皮に送ってくれます。また、毛乳頭細胞を刺激し、髪の毛を生み出す毛母細胞を活性化させる作用があります。細胞分裂が活発になることでヘアサイクルが正常に戻り、発毛が促されます。
また、AGAの要因としてあげた亜鉛についてですが、亜鉛は育毛効果があるだけでなく、5αリダクターゼを抑制する効果も確認されているためAGA予防、薄毛抑制に効果のある栄養素です。